はかなきは金銭・・・ 3
老母も娘が部長氏と結婚することには反対でしたが、夫に押し切られた不満を残していました。
夫婦間の亀裂は岳父が10年前に70歳で死去した頃から顕在化しました。
「あなたが死ねば、この財産はあなたの子供たちと半分ずつ相続することになりますわね。
それならお子たちにも半分はあなたの世話をみてもらわなくちゃ」
そのうえ、夫人は少々ボケかけてきた老母の面倒をみ、見送らなければ、という気持ちがありました。
結婚時の不和や気まずささえなければ、老母をこちらへ引き取って面倒をみる手もありましたが、それには老母・部長氏双方に抵抗があります。
「いまこの家と土地を売って半分ずつ分配し、離婚しましょうよ。
あなたは娘さんのところへいけばいいわ。
退職金は住宅ローンの返済でほとんど無くなったけど、残りの定期預金はあたしがもらう。
あなたには年金があるからいいでしょ」。